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2月19日に3枚目のミニアルバム「EASY」をリリースしたLE SSERAFIMが、世界のPOPシーンを熱くしている。
発売直後から日本のオリコンチャート1位をはじめ、iTunesのアルバムチャートはアメリカ、イギリス、日本などで1位を記録。Spotifyではアルバムリード曲の「EASY」が韓国、シンガポール、台湾など13の国と地域で、発売初日に「Daily Top Song」のトップ10入りした。
デビューからたった2年で世界から注目されるアイドルグループとなったLE SSERAFIMには、元HKT48・元IZ*ONEのサクラ(宮脇咲良)と、最後にメンバーに選ばれたカズハ(中村一葉)という2人の日本人が含まれている。
10年以上の芸歴と多数のファンを持ち、キラキラと輝く「王道アイドル」として、デビュー当初から大衆を虜にしたサクラと比べ、カズハは、最も成長したメンバーと言えるだろう。彼女は今、韓国のファンから格別の支持を集めている。
一際目を引いたカズハの経歴2022年4月8日午前0時、BTSを擁する芸能事務所・HYBEから新たに放たれるガールズグループ「LE SSERAFIM」5人目のメンバーとしてカズハの姿が公開されると、たちまち話題をさらった。
3歳からクラシックバレエを習い、デビュー直前までオランダの名門バレエスクールに留学していたというカズハのプロフィールが一際目を引いたのだ。
韓国において、バレエは韓国舞踊と並んで高貴なイメージを持つ舞踊である。アイドル養成所ではないところでパフォーマンスを磨いたという彼女の経歴は、デビュー前から「従来のK-POPアイドルとは何かが違う」ことを予感させた。
事務所はデビューメンバーの選定に頭を悩ませていたカズハはバレエ留学中の2021年に、LE SSERAFIMメンバー選出のためのオーディションをオランダからオンラインで受けて合格した。当時、事務所は完璧なグループを作るためにデビューメンバーの選定に熟慮を重ねていたが、「これだ!」という新メンバーが見つからず、頭を悩ませていたところだった。
この時点でデビューが内定していたメンバーは、キム・チェウォン、サクラ、ホ・ユンジン。IZ*ONEを生んだ大規模なオーディション番組「PRODUCE 48」に出演していた3名だ。すでに人気と知名度を獲得している彼女たちに見劣りしないオーラと、新人グループとしてのフレッシュさを併せ持つような人物が求められていた。
事務所はLE SSERAFIMのイメージを「強気で堂々としたカラーを持つ女の子」と決めた。幼くてかわいい、ファンが成長を見守るようなガールズグループではなく、成熟していて神秘的な、それでより一層大衆の好奇心を刺激する――そんな、「最初から完成型」のグループを作ろうとしていた。
そんな中で見逃せない逸材として現れたのがカズハだった。画面越しのオンラインオーディションだけで「合格」を掴み取った。
“素人同然”のカズハを事務所が手厚くサポートしかし彼女は、新型コロナウイルスの影響で、デビュー前に行われた韓国での練習に参加できなかった。そこで、事務所はリモートでカズハに韓国語のレッスンを受けさせた。オランダに滞在中の彼女のもとにトレーナーを送り、ボーカルとダンスを指導した。
いくら高い身体能力やバレエの技術を持っていようとも、K-POPの専門的なトレーニングを受けたことがないというのは、業界においては“素人同然”で、そんな1人のアイドル志望者に、事務所がこれほど手厚いサポートをしたのはかなり珍しいことだ。
カズハがデビューまでに練習できた期間は、わずか半年余り。K-POPアイドルとしてデビューするためには「練習生」として事務所に所属し、少なくとも1年以上、レッスンを重ねるのが通常だ。
5、6年以上練習生を続けても、デビューメンバーに選ばれずに事務所を辞めてしまう人が数え切れないほどいることを考えると、彼女のデビューは最初から破格だったと言えよう。
破格の待遇で、未経験の少女をデビューさせる。そんな「賭け」に挑んででも、事務所は彼女を絶対に逃したくなかったし、言い換えれば、彼女を含めたLE SSERAFIMのデビューに絶対の自信を持っていた。
「華やかなアイドル」のサクラと比べると…実際、カズハはデビュー前から「韓国人が好きな顔」として大きな反響を得ていた。「国民の初恋」との異名を持つほど韓国で絶大な人気を誇る、元miss Aで女優のぺ・スジに「似ている」という声も多く聞かれる。
「キラキラ輝く華やかなアイドル」というアイドルのパブリックイメージにぴったりなサクラに対し、カズハは「清楚でミステリアスな俳優型アイドル」ということで意見が一致する。
白くてきれいな肌と、細く長い末広の二重が特徴の意味ありげな瞳から、そのようなイメージが持たれるという解釈だ。カズハがデビュー以来、ずっと落ち着いたトーンのヘアカラーを保っているのも、このようなイメージを維持するためだろう。
しかし、群雄割拠のアイドル界では、ビジュアルの美しさだけで人気を維持することはできない。アイドルとしての人間的な魅力を感じさせることができないためだ。この点は、多くのアイドルたちが課題として捉えている部分でもある。
「面白さ」というギャップが韓国人気を押し上げたそんな中、カズハが高い人気を誇っているのは、彼女の持つ「ギャップ」が大きな理由となるだろう。
練習生の期間を持たず、韓国での生活もほとんど送れなかった彼女は韓国語が得意ではまったくなかった。しかし、同じ日本人であり「韓国語の先輩」であるサクラをはじめとしたメンバーたちの熱心なサポートのおかげで、驚くべき速さで韓国語を習得していった。
韓国語の上達とともにメディアでのカズハの口数は増え、一見クールにみえるイメージの裏に隠されていた「面白さ」が目立ち始めると、韓国のファンが一気に増えた。
サクラもそうだが、お笑いコンビのコメディ番組に出演した際には笑いのセンスをみせて、埋もれない存在感を発揮した。外見からのイメージとは異なる「ギャグ」にも果敢に挑戦し、コメディエンヌ的な立ち回りをごく自然に発揮したのだ。
カズハの出身地が大阪であることも、韓国ファンにとってはアピールポイントだった。TWICEのサナやBilllieのツキなど、韓国で活躍する日本人アイドルを多く輩出した地域でもあるが、「大阪の人々に『パン』と銃を撃つ真似をすれば、みんな死んだふりをしてくれる」といった言説が浸透しているほど、韓国人にとって大阪は、「面白さ」の象徴として人気のある都市だ。
そんな大阪出身者に対して韓国人が持っていたユーモラスなイメージを、カズハは裏切らなかったのだろう。その証拠に、一部の韓国ファンは彼女に「赤ちゃん大阪コメディエンヌ」というニックネームをつけた。
ドラマチックな経歴とミステリアスな外見、そしてしゃべるとギャップのある美少女。そんな、韓国のファンが愛してやまない要素をカズハはすべて持っているのだ。
「大した努力もなしに人気を得た」という意見への“反論”韓国メディアの取材で、彼女はデビューをこう振り返っている。
3歳からトウシューズを履いて、「私の人生には常にバレエがある」と信じていた。しかし、次第に「今後の私の人生にもバレエがあるだろうか?」という疑問を抱き始めた。そして、K-POPオーディションという人生の分かれ道を前に、果敢に「やってみよう!」と飛び込んだのだと。
合格を知らせる電話を受ける時さえも「詐欺ではないか」と思ったというが、傍目から見ていても彼女のデビューまで道のりは異例だった。
デビュー後の彼女の姿のみを見ている人からすると、「練習生期間もなくデビューし、大した努力もなしに人気を得た」と軽く言うだろう。しかし、カズハはこの道が決して順調ではなかったと反論する。
新曲「Swan Song」は、水面上では優雅に見える白鳥だが、その下では誰よりももがいているということをテーマにした曲だ。カズハは「LE SSERAFIMの堂々とした姿だけでなく、裏側に存在する悩みや不安についても話したかった」と打ち明けた。
舞台裏の血、汗、涙を表現〈「(新作は)私たちも見えないところでたくさん努力して悩んでいるという、舞台の裏のLE SSERAFIMの血、汗、涙を表現したアルバムです。これまで堂々とした姿をたくさんお見せしたとしたら、今度は内面にフォーカスしました。その分、もっと率直で人間的なLE SSERAFIMをお見せできると思います」〉
2月19日に韓国で開かれた「EASY」リリースイベントでのカズハの言葉だ。電光石火のデビューを果たし、日毎に新たな魅力を見せる彼女が、K-POPの世界でどのように羽ばたいていくのか。今後も注目し続けたい。
翻訳=金敬哲
(イ テジュ,金 敬哲)

(出典 news.nicovideo.jp)
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