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韓国は今「第4世代ガールズグループ黄金期」を迎えている。すでに高い人気を誇るaespa、IVE、LE SSERAFIMといったグループすべてに、日本人メンバーが含まれていることに注目したい。アイドルグループが本格的に活躍し始めた1990年代からK-POPを見てきた人々からすれば、日本人メンバーがこれほど韓国のファンに愛されているということは大きな変化でもある。
特に、LE SSERAFIMのメンバーの宮脇咲良(25・韓国活動名はサクラ)に対する韓国の反応は、彼女の経歴とともに、ドラマチックに変化してきた。
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当初は好意的な反応を受けられなかった2011年に博多を拠点とするアイドルグループ・HKT48に加入した宮脇咲良は、その後アイドルとして、韓国で2回ものデビューを果たした。
まずはじめは、2018年の韓国の音楽専門チャンネル「M-net」の企画で、日本の48グループとともに開催されたサバイバルオーディション番組「PRODUCE 48」に参加した時だ。
実は、この時は韓国内でそれほど好意的な反応を受けることはできなかった。すでに世界的な成功を収めているK-POPのシステムに、日本人メンバーが参加することに対する不満が生じたのだ。
だがその反面で、「グローバルに活動するアイドル」という点を評価した大衆からは、応援の声もあった。当時、AKB48の派生グループであるHKT48メンバーであった宮脇が、既に日本で多くのファンを得ていることは、韓国内でも知られており、彼女が「PRODUCE 48」に出演することは放送前から注目の的だった。
ダンススキルや歌唱力への厳しい指摘しかし、オーディション中の彼女のダンススキルや歌唱力などは、韓国のアイドルファンから「7年間人気アイドルとして活動をしたとは思えないレベルだ」という指摘が相次いだ。「いくら日本で人気だとしても、韓国での活動は難しいだろう」という評価もあった。
しかし「PRODUCE 48」が、宮脇の「アイドルとしての成長」にフォーカスを当て始めてから、状況は一変した。
中心となった「サクラ」現役の人気アイドルであるにもかかわらず、そのパフォーマンスには厳しい指摘を下される。そんな中、センターを務めることになり、激しいプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、仲間たちと切磋琢磨するうちに自らの潜在能力に気づき覚醒し、渾身の努力で韓国の練習生にも引けを取らないパフォーマンスを見せ、最終順位2位という好成績でデビュー掴み取る……。
そんな、漫画の主人公のような宮脇の姿は、多くの視聴者の胸を打ったのだ。
そして2018年10月、12人組グループの「IZ*ONE」として2度目のデビューを果たした宮脇は、K-POPアイドルとして大きな飛躍を遂げた。
2年半という期間限定の活動ではあったものの、韓国と日本の両国でヒット曲を連発するほど大きな注目と人気を誇り、その中心に「サクラ」がいた。
もとより「誰よりもステージが似合う」という絶賛を受けるほどアイドルとしてのスター性を持っている彼女が、韓国のハードなトレーニングを経て「完成したアイドル」として大きな成長を成し遂げた。――それが、当時のK-POP界の宮脇への評価だった。
日本人メンバーに対する“距離”は残ったままただ、彼女に対する明確な反感もあった。多くのK-POPファンの間では宮脇への好意が定着しつつあったが、一般の韓国の大衆には日本人メンバーに対する心理的な距離が、依然として残っていた。
韓国人にとって非常にセンシティブな事柄である8月15日(※日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」)に、「終戦記念日」とつづった宮脇の過去のSNSへの投稿が取り上げられた際には、一部の韓国国民から強い批判を受けることとなってしまった。
宮脇の存在が韓国内で広く知られるようになるほど、大衆の反感も膨らんでいくようだった。
BTSの所属事務所への移籍そうした中、宮脇は第3の波に乗ることとなる。IZ*ONEが当初の予定通り2021年で活動を終えると、宮脇はHKT48を卒業。BTSなどが所属する韓国の芸能事務所・HYBE(当時はビッグヒットエンターテインメント)行きを決断したのだ。
これは、宮脇にとっても、HYBEにとっても大きな冒険に違いなかった。
韓国の大手芸能事務所は、練習生1人当たり年間で1億ウォン以上の育成費用がかかると言われる。まだ韓国内に残る反感を押し切ってまで、それほどの育成費用を投資する価値があるのかどうか。それを証明することが、宮脇が直面したもう一つの壁だった。
すでに宮脇は、IZ*ONEでの活動を通じて、日本、韓国、中国の3国で人気を集めていたが、ファンダムではなく大衆からの支持を獲得することは、また別の話だった。業界内では、「韓国内で反感を買う恐れのあるメンバーがいる以上、成功は難しいのではないか」という慎重な分析が出たりもした。
いじめ疑惑によるメンバーの脱退さらには、2022年4月にLE SSERAFIMはデビューを果たしたものの、早々に、当初メンバーであったキム・ガラムが健康上の理由によって脱退。その背景には、デビュー前に学校内でのいじめに加担していたのではないかという議論があったために、グループ自体にも厳しい視線が注がれた。
あらゆるレッテルが貼られたまま活動をスタートしたLE SSERAFIMが、すでに世界的に人気を博しているTWICEやBLACKPINKなどの第3世代のガールズグループの後を追えるのか。さらには、第4世代として破竹の勢いでデビューしたaespaやIVEなどと並んで人気を獲得できるのかどうか。周囲は疑念と期待をもって、その行方を注視していた。
発売初週でミリオンを達成だが今では、「(HYBEの代表である)パン・シヒョクの目は正しかった」と業界の意見は一致している。宮脇が早々に韓国の大衆が求めるカルチャーに適応したのはもちろん、他のメンバーとの人気格差もなく、スキャンダルや炎上もないまま、デビュー1周年を駆け抜けたからだ。
実際、LE SSERAFIMはデビュー前の懸念が色あせるほど、短期間で巨大なファンダムを獲得している。
デビューアルバム「FEARLESS」は発売初日だけで17万6861枚を売り上げ、当時の「ガールズグループのデビューアルバムの初日最多売上」の記録を更新するとその勢いのまま、「デビューアルバムで30万枚以上の売上を記録した初のK-POPガールズグループ」として位置づけられた。さらに今年5月にリリースされたアルバム「UNFORGIVEN」は発売初週だけで100万枚を超え、ミリオンセラーを達成した。
このように、LE SSERAFIMの人気が高まると、宮脇と韓国の大衆の間にあった心理的なハードルも少しずつ低くなっていった。ここには彼女がバラエティ番組でみせる活躍の影響も大きいだろう。
「ジャコン」(自社で発信するグループ活動のウェブコンテンツのこと)では、バラエティ番組「怖いもの知らずクラ」(宮脇は韓国ファンの間で「クラ」という愛称で呼ばれている)を通じて、素直で気さくな姿を見せた。これは、彼女のイメージを変える大きなターニングポイントとなった。
日本のアイドルへの偏見を覆した宮脇は、「ぶりっ子が多い」という日本のアイドルに対する韓国人の偏見を見事に覆し、「팩폭(ペクポク)」(和訳は「ファクト暴力」=ファクトだけをストレートに話すことで痛快さを与えるという意味の造語。毒舌とは意味が少し違う)型キャラクターとして親しまれている。
たとえば、登録者数270万人の人気YouTubeチャンネル「ピシク大学」の番組「The Psick Show」に、LE SSERAFIMメンバーのホ・ユンジンと一緒に宮脇が出演した際のこと。
宮脇は、共演者のうち1人だけがずっとしゃべり続けているのをみて、「気になることがあります。給料はみなさん同じ金額を受け取っているんですか? (それにしては1人だけに)負担が大きすぎませんか?」とストレートに発言し、笑いを誘った。飾らない宮脇の姿は、視聴者の間でも「面白い!」と評判となった。
すでに現役アイドルとして高い認知度と人気を築いた宮脇がグループにいたことは、デビューから2年足らずのLE SSERAFIMが早々にファンダムを構築することに大きな効果をもたらしただろう。2年連続で「紅白歌合戦」への出場も決めており、日本での知名度から言えば、群雄割拠の第4世代グループの中で突出していると言ってもいい。
「人生最後のアイドルグループ」彼女が以前よりもさらに注目を集めるのは、人気に甘んじず、新しいものを積極的に受け入れ、努力を惜しまない姿を見せ続けているためだと言える。
ただ、依然として韓国で日本人メンバーが活動する度にぶつかることとなってしまう、歴史や文化といった壁が存在するということをふまえてみれば、まだ盤石とはいかないようだ。
「人生最後のアイドルグループ」と意気込みを語っていたLE SSERAFIMのメンバーとして、今後韓国でどのような影響をもたらしていくのか。K-POP界に新たな風を吹かせ続ける宮脇咲良というアイドルの活躍に、引き続き注目したい。
(イ テジュ)

(出典 news.nicovideo.jp)
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