YOASOBI(ヨアソビ)は、日本の音楽ユニット。メンバーは、コンポーザーのAyaseとボーカルのikura。 2019年に、ソニーミュージックが運営する小説&イラスト投稿サイト「monogatary.com」に投稿された小説を楽曲化するプロジェクトから誕生した。以降、同サイトに限らず様々な小説、…
90キロバイト (8,416 語) - 2023年12月31日 (日) 03:33



(出典 natalie.mu)


YOASOBIの「アイドル」は本当に衝撃的でした。従来のJ-POPとは一線を画する新しいサウンドであり、確かに「概念を変えた」と言えるでしょう。これからの彼らの活躍がますます楽しみです。

 2023年、韓国の音楽シーンを語るうえで欠かせないキーワードはまさに「J-POP」だった。昨年末から少しずつ予兆はあったが、今年は、アニメや映画などのコンテンツと結びついて本格的に存在感を発揮していた。

 そんな韓国でのJ-POPブームにおいて、ぜひ触れておきたい存在がYOASOBIだ。なぜ、彼らの楽曲は、ここまで韓国人の心を掴んだのだろうか?

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 Z世代の感性をくすぐったimaseの「NIGHT DANCER」がJ-POPとして初めて韓国の音楽チャート「Melon」のTop 100に入るヒットをみせると、韓国でも479万人もの動員を記録したアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』の主題歌「第ゼロ感」を手掛けた10-FEETは3回も来韓。優里、藤井風、あいみょんといったアーティストの人気も依然として高い。

 そんな2023年の“J-POPブーム”の核となったのが、コンポーザーのAyase(29)とボーカルのikura(23)による音楽ユニットYOASOBIの「アイドル」という楽曲だった。

人気K-POPアーティストを抜く大ヒット

 アニメ『推しの子』のテーマソングとして発表されたこの曲は、コアなファンを越えて、瞬く間に一般的な韓国の大衆に広がった。

 YouTubeの韓国内のクリック回数で集計する「Korea Top 100 Weekly」で1位を記録すると、年間の「YouTubeミュージックビデオランキング」でも6位にランクイン。これは、New JeansやBTSのジョングク、SEVENTEENといった人気アイドルたちの楽曲を抜いており、目に見える大ヒットだった。

 YOASOBI側も、こうした韓国のファンのニーズに応えるかのように、韓国の音楽番組への出演や、韓国ライブの開催など、活発な動きを見せている。

当初は“アニメの曲”としてささやかに話題を集める程度だった

 筆者は当初、韓国内で爆発的にヒットするJ-POPの特徴とは、ある程度韓国人にも馴染みやすい音楽であることが必須だと考えていた。たとえば、前述の優里やあいみょん、藤井風、imaseの楽曲には、歌詞こそ日本語ではあるものの、メロディーラインには韓国でのヒットソングと通ずるような、普遍的な魅力がある。

 そういう面で、アニメの主題歌としてリリースされ、日本の文化が色濃く反映された「アイドル」が、一部のファンだけでなく、一般層にまで広く聴かれるようになることは予想できなかった。

 実際、「アイドル」も当初は“アニメの曲”としての存在感の方がはるかに優位であり、一部のファンダムや、知り合い同士でささやかに話題を集める程度だった。

 近年はYouTubeやNetflixといったストリーミングサービスの普及によって、韓国内での日本アニメのファンは増加しており、『鬼滅の刃』や『チェンソーマン』、『呪術廻戦』などのタイアップの曲も、一定の認知度がある。しかし、「アーティストはわからないがこの曲は知っている」というケースが多く、その人気もファンの間で止まっていた。

「アニメーションタイアップ」はJ-POPが韓国に流入する最も大きなルートであるが、その消費が一部の人々のみで行われてしまうという側面があった。

「アイドル」が大衆に広がった理由

 それでは、「アイドル」はどのようにして一般大衆にまで広がったのだろうか?

 大きな理由は、TikTokやインスタグラムでのショート動画で爆発的に拡散されたことになるだろう。これは、日本市場をターゲットにするK-POPグループの存在が大きい。

 まず日本で「アイドル」が話題になると、K-POPグループに所属する日本人メンバーを中心に、SNSでダンスチャレンジ動画が相次いで投稿された。グループのファンたちがその光景を見るやいなや拡散し、次第にアイドルが「アイドル」を踊る姿があらゆるSNSで目に入るようになった。

 韓国の若者によく知られたJ-POPの一つに、HoneyWorksの「可愛くてごめん」があるが、これはショート動画で頻繁に使われたことがブームを生んだ先例だ。

YOASOBIの2人が構築する音楽の完成度

 ただ、「アイドル」という楽曲が興味深いのは、はじめは曲中の特徴的なフレーズや振り付けが、流行語のように拡散されたものの、次第にその音楽性自体に韓国人が魅了されていったという点にある。

「アイドル」はサウンドと構成の面で、K-POPの要素がかなり反映されていると感じる。壮大なイントロはBLACKPINKの「How You Like That」を連想させ、ミックスポップとしての構造などはNMIXXの「O.O」を思い出させる。

 ここに、日本のアニメソング特有のムードと、Ayaseの特技とも言える頻繁な転調を加えることで、韓国のリスナーを取り込む立体的な魅力の曲が完成した。

 さらに、相反する感情を上手に描き出すikuraのボーカルにおける表現力も、音楽と大衆をつなぐという役割を見事に果たしている。YOASOBIの2人が構築する音楽は、高い完成度とともに韓国人の心を掴んだのだ。

韓国公演のチケットは1分で完売

「アイドル」が高い話題を集めると、「夜に駆ける」や「怪物」、「群青」といったYOASOBIの過去の楽曲も再注目された。そのタイミングを計ったかのように発表された2日間の来韓公演はすべて予約開始1分で完売。それは、当初「アイドル」という歌だけに向けられていた関心が、アーティスト自身にまで広がったことを示していた。

2024年は韓国の音楽市場を攻略する絶好のタイミングに

 YOASOBIは、韓国と日本の流行がインスタグラムとTikTokを通じてほぼリアルタイムで共有されている現代において、魅力にあふれる音楽はいつでも韓国のトレンドになれるということを証明してくれた。

 アニメタイアップであれ、バンドであれ、バラードであれ、ヒップホップであれ、ボーカロイドであれ、どんなジャンルだろうと関係ない。

 さらに、今年のJ-POPブームをきっかけに、日本の音楽に対する韓国人の心理的なハードルもまた、かつてないほど低くなっている。2024年は日本の音楽関係者にとって韓国の音楽市場を攻略する絶好のタイミングになるかもしれない。

 ただ、YOASOBIのようなアーティストが今の人気を来年、あるいは再来年まで維持できるかという質問には疑問が残る。

 J-POPが韓国音楽シーンで一つのジャンルを確立しつつあることは明らかだが、どうしてもまだ音楽自体よりは一種のスナックカルチャー(※スナック菓子のように簡単に楽しめる文化)として認識されたり、消費されたりする傾向にあるからだ。

韓国で新たな可能性を開いた、YOASOBIの存在

「アイドル」のヒットを振り返っても、大衆のほとんどは「日本の音楽」であることを認識してというより、自分の好みに合ったコンテンツに遭遇したという感じに近いだろう。そのため、J-POPを意識的に探して聴く人はまだそれほど多くはないのだ。

 それでも、多様な音楽を楽しみたい韓国の大衆が、J-POPを一つの選択肢として受け入れ始めたということは、ポジティブで大きな変化といえるだろう。筆者自身、韓国にいるJ-POPファンの1人として、例年に増して多くの人々と日本の音楽を共有できたという幸せな実感がある。

 韓国・仁川で開かれた「ペンタポートロックフェスティバル」では、16年ぶりに韓国を訪れたELLEGARDENが登場し、聴衆は「Make A Wish」を合唱した。New Jeansの「Ditto」を藤井風がカバーしたことには驚かされた。「釜山国際ロックフェスティバル」では10-FEETの「第ゼロ感」を通じて聴衆は一つになって盛り上がった。ONE OK ROCKの来韓公演では、なかなかライブで披露されることのなかった曲の一つである「C.h.a.o.s.m.y.t.h.」に大きく心を揺さぶられた。

 このように、今年は韓国人にとって、J-POPがさらに親密なものとなり、新しい領域への歩みを感じさせるかのような1年だった。その勢いを牽引し、韓国内で新たな可能性を開いたのが、YOASOBIという存在なのだろう。

(ファン・ソノプ)

※写真はイメージです ©AFLO


(出典 news.nicovideo.jp)